「俺の推理を披露しよう」

・孤島の精神病院へ捜査にやってきた警視庁捜査1課の新人刑事。今回の仕事は1年前に東京都内で起きた「ある殺人事件」の内定捜査である。

・ことの発端は、1週間前にさかのぼる。警視庁捜査1課に匿名の人物からある殺人事件の犯人に関するタレコミがあった。その時点ではいたずらとして判断していた警察であったが、その数日後、同様の人物と思われる人間から封筒がとどく。その封筒の中身は、1年前の殺人事件の被害者の髪の毛であった。

・警察官僚の家庭に生まれた彼は、父と同じように警察官僚へと道をたどり、1年前、父がいた念願の捜査1課に配属される。幼いころに刑事である父を失った彼は、直属の上司であるボスを自分の父親のように慕っている。今回の内定捜査は、ボスが急病のため急遽彼がこの病院に派遣された。引退間近のボスにとっての最後の事件を託された彼は、尋常ならざる思いでこの事件に望む。